| タイトル | ハッピー・オナム――みんなの祭り、ともに楽しむ踊り | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会期 | 2026年8月14日~12月6日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 会場 | 国立民俗博物館坡州館 2階 「開かれた収蔵庫 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
インド南部ケーララム州の「オナム」は、家族や親族が集う伝統的な行事であるとともに、稲の初収穫を祝い、地域を挙げて約10日間にわたり催される収穫祭でもあります。祭りの期間中は、互いに「ハッピー・オナム」と挨拶を交わし、家族や近隣の人々の平安と幸福を願います。オナムは毎年8月から9月ごろ、ケーララム州で用いられるマラヤーラム暦の最初の月「チンガム」に行われ、現地ではこの時期が新しい年の始まりとされています。また、オナムにはヒンドゥー神話に由来する要素もあり、この時期にマハーバリ王が地上に戻って人々のもとを訪れるとされ、その帰還を歓迎する意味も込められています。
2026年、ケーララム州では8月25日から28日までがオナムに伴う祝日に指定されており、その前後には大規模なパレードをはじめ、虎の踊りやスネークボート・レースなど、多彩な催しが繰り広げられます。祭りの期間中、多くの村では、代表的な仮面舞踊「クンマッティカリ」が披露されます。草で作った衣装をまとった村人たちが自ら演者となり、祭りに一層のにぎわいを添えます。 *現在、「ケーララ州」から「ケーララム州」への名称変更に向け、最終的な法的手続きが進められています。本展では、駐韓インド文化院の助言を受け、「ケーララム州」と表記しています。 開催にあたって
国立民俗博物館は2025年9月、インド・ケーララム州のトリシュール地域を訪れ、オナム祭の調査を行うとともに、関連資料を収集しました。オナム祭は、伝統的な行事であると同時に、地域の宗教や神話、収穫への感謝が融合した独自の特色をもつ祭りです。開催時期をはじめ、神々や祖先へ捧げる感謝の心、特別な料理を分かち合う習慣など、韓国の秋夕(チュソク)とも共通点があります。
2025年のブラジル・リオのカーニバルに続き、2026年に開催する「収蔵庫で出会う世界」展では、トリシュール地域のオナム祭で実際に使われたさまざまな小道具やクンマッティカリの仮面などをご紹介します。本展が、インドと韓国の文化がもつ普遍性と固有性について考える機会となれば幸いです。 ケーララムの人々みんなの祭り、オナム祭① プーカラム
プーカラムは、オナム祭の期間中、各家庭の玄関先をさまざまな生花の花びらで彩る円形の花飾りです。現地のマラヤーラム語で、「プー」は花、「カラム」は床や地面に描く絵を意味します。その起源は、祭りの期間に地下世界から訪れるマハーバリ王を迎えるため、その通り道を花で飾ったことにあるとされています。プーカラムは、野の花や園芸用の花を用いて円形に作ること以外、模様や大きさなどに特に決まりはなく、家庭や団体ごとにそれぞれ工夫を凝らして作られます。祭りの期間中には、各地の村でプーカラム作りのコンテストも開かれ、色とりどりの華やかな花飾りを見ることができます。
② トリッカカラ・アッパン、アシュタマンガリヤム
トリッカカラ・アッパンとアシュタマンガリヤムは、オナム祭で豊穣と祝福を願うために用いられる代表的な祭具です。トリッカカラ・アッパンは、粘土や紙などで作られた神像で、ヴィシュヌ神の化身であるヴァーマナを象徴しますが、地域によってはマハーバリ王を表すものともされています。プーカラムのそばに花飾りとともに置くほか、米粉を溶いた水などをかけて清め、神を迎えます。アシュタマンガリヤムは、一般に真鍮製のランプや水差し、器など複数の聖物で構成されます。ランプに芯を入れて火をともし、器には籾などの収穫物を盛るといった儀式を通して、家族や共同体で豊穣の喜びを分かち合います。
③ サディヤ
サディヤは、オナム祭の期間に食べる特別な料理で、結婚式や寺院の儀礼などでも、人々が集まってともに味わいます。ケーララム州を代表する産物であるココナッツやバナナなどが多く使われます。バナナの葉の上に、ご飯を中心としてさまざまな野菜料理やカレー、菓子類など二十種類ほどの料理を並べ、手でいくつかの料理を混ぜ合わせながら食べます。こうして食事をともにし、分かち合うことには、家族や共同体の中で豊かな収穫に感謝し、絆を確かめる意味が込められています。
ともに楽しむ仮面舞踊、クンマッティカリ
クンマッティカリは、仮面をつけた演者たちが路地を練り歩き、歌や踊りで村の人々を楽しませるケーララム州の仮面舞踊で、主にオナム祭の期間に行われます。クンマッティカリの起源について詳しいことは分かっていませんが、その名称は、ヒンドゥー教の神シヴァにまつわる祭礼などと関連する「クンマッティ」と、遊びや踊りを意味する「カリ」が合わさったものと伝えられています。また、演者が身にまとう草の衣装に使われる「クンマッティ・プル」に由来するという説もあります。クンマッティカリは、韓国のチシンパルキ(地神踏み)のように家々を訪ねる伝統的な形のほか、現代的なパレード形式でも行われています。
トリシュール地域のクンマッティカリには、『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』などの神話に登場する逸話が取り入れられるほか、マハーバリ王がかつての王国を訪れたのち地下世界へ戻るのを、儀礼として見送る意味も込められています。そのため、クンマッティカリでは神や人間、動物をかたどったさまざまな仮面が見られ、その多くはヒンドゥー神話や『ラーマーヤナ』などの登場人物を表しています。 クンマッティカリの演者は、植物を束ねたり編んだりした衣装を身にまといます。伝統的には「クンマッティ・プル」と呼ばれるパルパタカ・プルが主に使われてきたとされていますが、現在では入手が難しくなったため、ラマチャムの根を緑色に染めたものや、シルバーオークの葉、乾燥させたバナナの葉などが用いられています。
主要展示資料
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 登録日 | 2026-08-14 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||